看護の日

週末までは、いてもたってもいられない暑さでしたが、月曜日と火曜日に雨が降り、ちょっとだけ涼しくなりました。
「ああ〜今日は涼しいなあ。気持ちいいなあ・・・。」と思い、温度計を見ると32度・・・。
私の暑さの感覚は、若干おかしくなりつつあります。
今の季節、日本は20度前後で一番気持ちのいい季節ですが、今すぐ日本に帰ると、私にはまだ、ダウンジャケットが必要かもしれません・・・。
人間の体の適応力ってすごいなあと思います。

さて、12日は看護の日でした。

「看護の日」は、ナイチンゲールの誕生日で、日本でも市民向けのイベントなどが行なわれます。

去年、ビエンチャンの中央病院4病院合同で、看護の日のイベントが開催され、各病院がパネル展示を行い発表しました。私達JOCVも、「JOCVとは?」というパネルを作り、ラオスで活動する医療隊員やPOMOSOの活動について紹介したりしました。
今年は、なぜか突然、保健省から全国の病院に「看護の日には、イベントを行なうように。」というお達しが来ました。

うちの病院では、先週末に院長が「保健省からこういう指示があった。」と、その内容を紹介しました。
10日の月曜日、同じ母子保健課で働く看護師長さんに、「看護の日は何をするの?」と聞くと、「まだ院長やみんなと話し合ってないから、それからだね。」と言われました。

でも、明後日ですけど・・・。

師長さんに「日本ではどういうことをするの?」と聞かれたので、「うーん、無料診療とか、学生の看護体験とかかな。」と少しだけ紹介をしました。
他にも、ラオス北部で活動している同期の郡病院では、患者の無料診療やナイチンゲールについて調べて、発表をするといっていたので、そのことも伝えました。

ま、準備はいつもぎりぎり、でも土壇場で何とかなるラオスなので、どういう風になるか、様子を見てみることにしました。

11日。あいかわらず、動きはなし。先週から始まった、鳥インフルエンザのワクチン接種でたくさんの人が訪れ、それどころではない様子。

母子保健課の若いスタッフに、「明日、看護の日なんだけど、知ってる?」と聞くと、「知らない、何それ?」と聞かれました。

「じゃあ、ナイチンゲール知ってる?」と聞きなおすと、

「知らない。明日、その人が来るの?」と聞かれ・・・。


「・・・・・いやあ、ナイチンゲールは、来ないかなあ。亡くなってるしね。かなり昔に・・・・・。」

と、答えるしかない私。


院長や看護師長も、「ナイチンゲールは看護師」というぐらいしか知らないようです。
日本では、看護の学校に入ると、まず「看護とは」という概念を学ぶ際に、ナイチンゲールは登場すると思うのですが・・・。

ラオスでは、「看護とは何か。」ということを、学ぶ機会がないまま、看護師になっているのが現状のようです。看護師になりたくて学校に入る人もいるかもしれないけど、親が病院で働いているから、子どもも学校に入るというパターンもあります。
また、ラオスでは、病院で食事や着替えなどの患者の世話をするのは、家族や親戚です。看護師は処置や投薬のみ。患者さんの安全・安楽のために、看護師は何をすればいいのか考えることは、働き始めてからもないのです・・・。

さて、ちょっと話は逸れましたが・・・。

11日の夕方、院長が言うには、「もう師長には言ってある!!師長が何もしなくても、院内清掃したし、花も植えたし、それでいい。」とのこと。

確かに、11日の夕方に掃除はしました。でも、それは12日に市内4郡の合同定例会議があり、今月サイタニーの番で、お客さんが来るからと、慌ててやったものでした。
そして、花は苗を買ってきて、実習に来ている薬剤部の学生に先週末から植えさせましたが、週明け病院に来てみると、見事にヤギに食べられ、無残な姿に・・・。(涙)
また新たに植えられてはいましたが、これはたまたまで、看護の日に合わせて植えたとは思えません。

結局、動きがないまま、当日を迎えました。

朝の会議で、また院長から、「看護の日に関しては、すでに話したはず。それぞれの病院で何をしたか報告をしないといけないんだから、必ず何かはするように。」という無茶振り。

看護師長さんは、仕方なく、即席健康教育を実施。しかし、予防接種でたくさんの人が来ていたものの、我先に!!という人たちばかりで聞いちゃいない・・・。私も大きな声を出して、手伝ってみましたが、近くにいる人しか聞いていませんでした。

お昼には、会議室で行なわれていた合同定例会議が終わり、サイタニー病院のスタッフが作った料理で宴会が始まりました。

一部のスタッフは、「今日は、看護の日だから〜〜〜!!」と、午後の仕事を放棄し、夕方まで飲み続けていました。

ラオスには、3月に「女性の日」というのがあって、その日は女性が夜勤だと男性職員が交代してくれたり、女性が仕事を休める日なのですが、それと一緒で、看護師が仕事をしなくていい日と勘違いしてる???

説明しようとしたところで、「ぼーぺーんにゃーん(いいの、いいの〜〜〜)!」と、言われ、つかまって飲まされる始末・・・。

何をどこから、どうやって説明したらいいのか・・・。悩みますねえ。

結局、上から「やれ」と言われてやったところで、みんながその中身や目的をちゃんと理解していないと、意味がないように思います。それをすっ飛ばして、無茶振りされたんじゃ、郡病院のスタッフもどうしていいか分からず、何だかかわいそう。
何から何までトップダウン式のラオスで、自発的に物事を動かすのは、難しいなあと思います。それが、見たことも聞いたこともない「看護の日」ならなおさら・・・。

まずは、「看護」の概念の教育から?
う〜〜ん、先が長いけど、急がば回れ

焦らずやっていくしかないのかな。